カテゴリ: 歴史

7月27日、喜安朗による最新の著書『転成する歴史家たちの軌跡:網野善彦、安丸良夫、二宮宏之、そして私』をめぐる公開セミナーが東洋大学で開催される。

喜安朗は1931年生まれのフランス近代史研究者。東大文学部を卒業後、社会運動史研究会の活動に携わり、19世紀末のサンディカリストや、1848年革命の主役となった民衆層を対象に研究を行ってきた。代表的な著書に、19世紀前半パリの民衆生活を生きいきと描写した『パリの聖月曜日』(平凡社、1982年)、同じく19世紀パリ民衆の社会的結合関係を描いた『近代フランス民衆の<個と共同性>』(平凡社、1994年)などがある。

今回のセミナーは喜安の新刊『転成する歴史家たちの軌跡:網野善彦、安丸良夫、二宮宏之、そして私』の出版を契機とするもの。西洋史研究の大家が同世代の歴史家の仕事を表するとともに自身の半生を語った本書は、戦後日本における歴史研究の動向を知る上で欠かすことのできない文献となるだろう。

東洋大学では人間科学総合研究所を拠点に2011年以来「トランスナショナルカルチュラルヒストリーの今後」と題する共同研究プロジェクトを行ってきたが、今回のセミナーはその延長として企画されたもの。同プロジェクトからはピーター・バークによる講演原稿の出版や『歴史として、記憶として: 「社会運動史」1970~1985』がスピンオフするなど史学史・歴史理論に関して多くの成果が発表されたこともあり、今回のセミナーも期待大だ。関心のある読者はぜひチェックされたい。
公開セミナー
喜安朗著『転成する歴史家たちの軌跡 網野善彦、安丸良夫、二宮宏之、そして私』(せりか書房)をめぐって

基調報告: 喜安朗
コメント: 近藤和彦、戸邉秀明
司会: 岡本充弘
日時: 7月27日(日)13:30~17:00
場所: 東洋大学白山校舎8号館8階・125年記念ホール 

今月20日(金)より、映画『300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』が公開される。

2007年に公開され話題を呼んだ映画『300 <スリーハンドレッド〉>』の続編であり、 前作の前後の物語が描かれる。本作の舞台は前500年より半世紀にわたって続いたペルシャ戦争のハイライトである「サラミスの海戦」だ。高校の世界史の教科書にも名前だけは載っている事件だが、一体どのような戦いだったのだろうか?

テルモピレーの戦い:前作のおさらい

サラミスの海戦について説明する前に、前作の舞台である「テルモピレー(テルモピュライ)の戦い」について簡単におさらいしておこう。前500年、ギリシャ連合軍とアケメネス朝ペルシャ帝国の間で勃発した戦争がペルシャ戦争である。この戦争でアテネやスパルタに代表されるギリシャの都市国家(ポリス)は同盟を結び、強大なペルシャ帝国に立ち向かった。ちなみに、このペルシャ戦争について叙述した史料が「エジプトはナイルの賜物」で有名なヘロドトスの『歴史』である。

前481年、ペルシャ王クセルクセス1世はポリス連合軍を屈服させるべく、ギリシャ遠征を挙行した。ヘロドトスの記述によれば、その数は100万人以上。迎えうつギリシャ軍は3日間にわたって奮戦したものの、多勢に無勢のため敢え無く撤退。勇猛で鳴らしたレオニダス王率いる300人のスパルタ兵は壮絶な玉砕を遂げる。かくしてテルモピレーの戦いはギリシャの惨敗に終わった。

決戦の舞台:サラミスの海戦

テルモピレーの敗戦は全ギリシャを震撼させた。100万のペルシャ軍はもうすぐそこまで迫っている。そこでアテネは各ポリスへ要請し、全ギリシャ艦隊をサラミス島へ集結させた。艦隊を率いるのは名将テミストクレス。誇り高い性格で政敵も多かったが、陣頭指揮の才能で右に出るものはいなかった。かくして両軍合わせて数百隻の三段櫂船がサラミス島の近海にて対峙した。ペルシャの帝王クセルクセスと、ギリシャの知将テミストクレス、勝利はどちらの手に渡るのか。

戦いの結果とその後日談について既にご存知の読者も多いと思うが、ここでは映画を観てのお楽しみとしておこう。映画『300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』は今月20日(金)より、全国劇場にて公開される。

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