上の写真はCGでも映画のセットでもない。実在する建物だ。
これはパリの北東部にあるフランス共産党本部の大会議場。近未来的な内装は、まるでSF映画の世界に入り込んでしまったかのようだ。
この建物を設計したのはブラジル出身の建築家オスカー・ニーマイヤー。ニューヨークの国際連合本部ビルの設計にも携わった現代建築の巨匠だ。
フランス共産党本部が竣工したのは1981年。会議場だけでなく、廊下や外観も近未来的なものとなっている。
いかがだっただろうか。当時まだ勢力を保っていた社会主義の理想をそのまま形にしたかのような建築だ。
だがこれで驚いてはいけない。ヨーロッパにはもう一つ、共産党関連のSF風の建築が存在する。以下の建物だ。
先ほどのフランス共産党の本会議場に似て、こちらも近未来風の空間に目を奪われる。
しかしながら、足元に目を移すと高く砂が積もっているのに気づくだろう。実はこの建物、現在では廃墟となってしまっている。今から25年前に起こった東欧革命とソ連の崩壊により、建物が放棄されてしまったのだ。
この建物の正体はブルガリア共産党本部。フランス共産党と同じ1981年に完成した。海抜1441メートルという、バルカン半島の険しい山の上に建てられた、宇宙船か秘密基地のような外観の建築だ。
建物が放棄されて四半世紀。今では訪れる者も少ないが、往時は国際的な社会主義運動の中心拠点だった。
さて、いかがだっただろうか。今では見向きもされなくなった共産主義がかつてこれほどまでに熱かった時代があったというのは、ちょっとした驚きではないだろうか。これを機にあなたも「共産趣味」に目覚めてみては?
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