映画は小栗康平監督がメガホンを取り、あの『アメリ』を手掛けたプロデューサーであるクロディ・オサール(Claudie Ossard)が担当する。
主演のオダギリジョーは、本格的な欧州進出は今回が初。撮影に向けて6月からフランス語の特訓を行っているという。
本作の主人公である藤田嗣治(ふじた つぐはる) は1886年、東京市牛込区に生まれた。1905年、東京美術学校(現在の東京芸術大学美術学部)西洋画科に入学した後、1913年に渡仏。パリはセーヌ左岸のモンパルナスに居を構えた。
当時のモンパルナスにはピカソ、モディリアーニ、ザッキンやアンリ・ルソーなど、当代一流の画家・芸術家が集まっていた。その活気あふれる様子は映画『ミッドナイト・イン・パリ』からうかがい知ることができる。
藤田はパリでフランス語風の綴り「Foujita」と名乗った。「Fujita」だと「フュジタ」の発音になってしまうからである。藤田は「FouFou」(「お馬鹿さん」の意)という愛称でパリの仲間に親しまれた。
藤田は「エコール・ド・パリ」の面々と交流を続けながら独自の画風を追求し、 乳白色の肌を特徴とするスタイルは世界中から絶賛された。
戦火の中で30年年代に帰国するも、再び渡仏、59年にはフランス国籍を取得し、 「レオナール・フジタ」と名乗った。1968年、スイス・チューリヒにて没。
若くして海外に渡った藤田、19歳で米国に留学したオダギリも親近感をもったという。実力派俳優は丸メガネにおかっぱ頭の藤田をどう演じるのか。映画「FOUJITA」は2015年秋公開の予定である。