La_grève_des_mineurs_du_Pas-de-Calais
フランスで大規模なストライキが予告されている。

発端となったのはマクロン政権が推進する年金制度の改革だった。フランスの複雑な年金制度の一本化は長年の課題であったが、これが受給者の不利益を招くとして、労働者の反対も大きかった。

今回、CGT や FO といった6つの大手労組の呼びかけにより、公共交通・公共サービス部門の労働者が一斉に無期限ストを実施することが予告されている。実施日に12月5日が選ばれたのは、24年前、1995年の同じ日にアラン・ジュペ首相の社会保障改革プランに反対する大規模ストが行われたことに因んでいる。

二次大戦後に確立したとされるフランスの社会保障は政府と民間の二重制度を特徴としており、政府による社会保険に加えて民間による共済組合が歴史的に大きな役割を果たしてきた。それに加えて19世紀のサンディカリズム以来の労働組合運動の伝統もあり、労働者の間では自律的な組合による相互扶助を信頼する心性が根強い。

他方、自律的な共済運動の林立に伴う社会保障制度の複雑化が課題とされてきたのも事実である。マクロン政権以前にも政府はたびたび制度にメスを入れようとしてきたが、今日に至るまで問題は解消されていない。

今回、12月5日にストライキを行うのは国鉄(SNCF)やパリ交通公団(RATP)といった公共交通、電力会社(EDF)をはじめとする公共サービス部門など多岐にわたる。95年のゼネストは一か月にも及び、フランス経済は大打撃を受けたが、今回のストも政府と労組の間で合意に至らなければ一日では終わらないことが懸念されている。観光客にも影響が大きいと予想されるので、引き続き続報に注視されたい。

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