Immanuel_Wallerstein

8月31日、「世界システム論」 の提唱者として知られるイマニュエル・ウォーラーステインが亡くなった。88歳だった。

イマニュエル・ウォーラーステインは1930年9月28日、米国のニューヨークで生まれた。コロンビア大学を卒業したウォーラーステインは大学院に進学し、ガーナとコートディヴォワールの独立運動に関する論文で博士号を取得した。

アフリカ学者として出発したイマニュエル・ウォーラーステインのキャリアを変えたのは1968年の学生運動だった。ウォーラーステインはマルクス主義の理論(従属論)と「アナール学派」の歴史学(世界経済)を独自の方法で接続し、「近代世界システム」論と呼ばれる世界認識の枠組みを構築、国際的にその名声をとどろかせた。

ウォーラーステインによる世界システム論は、日本でも近代イギリス経済史学を専門とする川北稔などの紹介により広く認知されている。


偉大な社会学者の死に学会は大きな衝撃を受けており、多くの大家が哀悼の意を表している。

クレイグ・キャルフーン「現代の偉大な知識人、正義に深くコミットした社会理論家、陰鬱さの中で希望を保った温かい人格者、わが友人ウォーラーステインよ安らかに。」

ミシェル・ヴィヴィオルカ「イマニュエル・ウォーラーステインが他界しました。彼は偉大なる知識人であり、素晴らしい友人でした。彼に社会科学は多くのものを負っており、彼の死は人間科学館にとって大いなる損失です。」

ジャック・アタリ「このフェルナン・ブローデルの偉大な後継者から私は多くを学んだ。彼が提唱した諸概念は今なお私とともにある。歴史上の出来事は長期持続の中に位置付けなければ理解できないことを想起させられた。」