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 6月17日(月)、フランスでバカロレア資格の初日となる哲学試験が実施された。

バカロレア資格とは?

バカロレア資格とはフランスの大学入試にあたる検定試験のこと。受験生は一週間に渡ってこの試験に取り組み、合格すれば原則としてどの大学にも入学する権利を得られる点が特徴。

そんなバカロレア資格、初日の午前に行われる試験は例年通り哲学だ。3つのテーマから1題を選択し、4時間に渡って論述する試験形式である。日本のセンター試験とは大分雰囲気が異なるが、一体どんな試験なのだろうか。早速今年の試験問題を見てみよう。

バカロレア試験問題(文系)

テーマ1:時間から逃れることは可能か。
(Est-il possible d’échapper au temps?)

テーマ2:芸術作品の説明は何に資するか。
(À quoi bon expliquer une œuvre d’art?)

テーマ3:以下のヘーゲル『法哲学講義』の抜粋を説明せよ。(問題文略)
(explication de texte de HEGEL, Principes de la philosophie du droit (1820))


バカロレア試験問題(理系)

テーマ1:文化の多様性は人類統合の障害か。
(La pluralité des cultures fait-elle obstacle à l’unité du genre humain ?)

テーマ2:義務の認識は自由の断念であるか。
(Reconnaître ses devoirs, est-ce renoncer à sa liberté ?)

テーマ3:以下のフロイト『幻想の未来』の抜粋を説明せよ。(問題文略)
(explication de texte de FREUD, L’Avenir d’une illusion (1927))


バカロレア試験問題(経済・社会系)

テーマ1:道徳は政治的なものの中で最良であるか。
(La morale est-elle la meilleure des politiques ?)

テーマ2:労働は人間を分断するか。
(Le travail divise-t-il les hommes ?)

テーマ3:以下のライプニッツによるデカルト『哲学原理』総論への批判を説明せよ。(問題文略)
(explication de texte de LEIBNIZ, Remarques sur la partie générale des Principes de Descartes (1692))


さて、いかがだっただろうか。一読しただけではどんな答えを書けばよいのか分からないという人が大半だろうが、もちろん模範解答や採点基準、また解法のテクニックなども存在する。坂本尚志「バカロレア哲学試験は何を評価しているか?―受験対策参考書からの考察―」(『京都大学高等教育研究』第18号、2012年)には、バカロレアの哲学試験で高得点を取る秘訣、またその理念などがまとめられているので、ぜひ一読をおすすめする。同論文の著者は星海社新書より『バカロレア幸福論:フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』も出版している。


本誌では2014年よりバカロレア資格の過去問を特集してきた。興味をもった方は参照されたい。

バカロレア試験(哲学)過去問

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2014年