Jablonka
6月24日、歴史学者のイヴァン・ジャブロンカが恵比寿の日仏会館で講演を行う。

イヴァン・ジャブロンカとは?

イヴァン・ジャブロンカは1973年フランス出身の歴史学者。第三共和政期の孤児に関する研究でパリ第4大学(ソルボンヌ大学)で博士号を取得した後、現在はパリ第13大学で教授を務めている。

ジャブロンカの研究の特徴は、その独特の問題関心にある。思春期の頃より文学に強い関心を示していたジャブロンカは、博士論文と並行で作家ジャン・ジュネに関する論考を発表、さらに「イヴァン・アメリー」の偽名でAme soeurという小説を刊行するなど、狭義の歴史学者におさまらない活動を行ってきた。

イヴァン・ジャブロンカの名を世に知らしめたのは、彼が2012年に発表した歴史研究『私にはいなかった祖父母の歴史』(邦訳:名古屋大学出版会、2017年)である。ジャブロンカの祖父母はポーランドにユダヤ人として生まれ、信条からフランスへの亡命を余儀なくされ、最終的に第二次大戦中にナチスの強制収容所で殺害された。ジャブロンカは会ったことのないこの祖父母に関する情報を歴史学の手法で丹念に精査し、彼らの生き様を文学的な語り口で叙述した。『私にはいなかった祖父母の歴史』はフランスの読書界に驚きをもって受け入れられ、多くの賞を授与された。

続いてジャブロンカが自らの方法論的挑戦を提示した『歴史は現代文学である―社会科学のためのマニフェスト』は、賛否両論を含め学界にセンセーショナルな反応をもたらしている。

日仏会館講演「社会科学における創作」

今回の来日では、「社会科学における創作」と題された講演が日仏会館において行われる予定だ。今日、メディアや芸術などを通じてパブリックなオーディエンスを得た歴史学に何ができるのか。対談者は『九年前の祈り』で芥川賞を受賞した作家の小野正嗣(立教大学教授)。ほぼ同年代で、同じ時期にパリ大学で博士号を取得した二人の研究者がどのような議論を繰り広げるのだろうか。なお講演会参加には事前申し込みが必要となっている。

イヴァン・ジャブロンカ講演「社会科学における創作」
日時:2019年06月24日(月) 18:30〜20:30
場所:日仏会館1階ホール




photo : Wikimedia Commons