6月15日、フランスで毎年恒例となるバカロレア資格の哲学試験が行われた。
バカロレア資格とはフランスの大学入試に相当する試験。毎年6月中旬からおよそ一週間にわたって行われる。中でも初日の哲学試験は4時間にわたって一つの命題と格闘することを要求されることで知られており、この日はフランス中がバカロレアの行方に関心を寄せる事となる。
そんなバカロレア哲学試験、今年は一体どのような問題が出題されたのだろうか。早速問題文をチェックしてみよう。
文系(L)
主題1 知るためには観察するだけで足りるか。(Suffit-il d'observer pour connaître ?)
主題2 権利を全て実行することは正当か。
(Tout ce que j’ai le droit de faire est-il juste ?)
主題3 以下のルソー『人間不平等起源論』の抜粋を説明せよ。(問題文略)
(ROUSSEAU, Discours sur l’origine et les fondements de l’inégalité parmi les hommes, 1755.)
理系(S)
主題1 権利の擁護と利益の擁護は同義か。(Défendre ses droits, est-ce défendre ses intérêts ?)
主題2 人は自らの文化から自由たり得るか。
(Peut-on se libérer de sa culture ?)
主題3 以下のフーコー『知・身体』の抜粋を説明せよ。(問題文略)
(FOUCAULT, Dits et Ecrits, 1978.)
経済社会系(ES)
主題1 理性は全てを説明し得るか。(La raison peut-elle rendre raison de tout ?)
主題2 芸術作品はすべからく美しいか。
(Une oeuvre d'art est-elle nécessairement belle ?)
主題3 以下のホッブズ『リヴァイアサン』の抜粋を説明せよ。(問題文略)
(HOBBES, Léviathan, 1651.)
さていかがだっただろうか。大学入試というとセンター試験のように解答が一意に決まる試験を想像しがちだが、バカロレアは論述力が要求される。おしゃべりで議論の強いフランス人にぴったりの試験方式といえるだろう。
なお、本誌では毎年継続してバカロレア哲学試験の過去問を特集している。今回の記事を読んで興味を持った方は、以下の関連記事から2014年以降の過去問をチェックしてみてはいかがだろうか。
バカロレア試験(哲学)過去問
2016年
2015年
2014年
- これがフランスの大学入試!2014年バカロレア哲学試験問題(文系編)
- これがフランスの大学入試!2014年バカロレア哲学試験問題(理系編)
- これがフランスの大学入試!2014年バカロレア哲学試験問題(経済社会系編)