Sigmund_Freud
今日はオーストリアの精神科医ジークムント・フロイトの誕生日。これを記念して、Googleトップページのロゴもフロイトの学説をモチーフにした特別イラストに変更されている。

このトップページ変更は記念日を祝うGoogleの特別機能「Doodle」(ドゥードゥル)によるもの。水面から顔を出すのはフロイトの横顔、そして水面下に沈んだ巨大な氷塊はフロイトの概念である「無意識」を表している。このDoodleは日本の他にも、南北アメリカ大陸やヨーロッパなどのGoogleで確認することができる。

ジークムント・フロイトの生涯

ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)は今日から160年前、1856年の5月6日に当時オーストリア帝国領だったチェコのモラヴィアで生まれた。ユダヤ系の家庭に生まれたフロイトはウィーンに移り住み、ウィーン大学で医学を学んだ。

ジークムント・フロイトはその後、パリへ留学。ヒステリー研究の第一人者として当時名を馳せていたジャン=マルタン・シャルコーのもとで催眠療法を学んだ。

シャルコーの影響を受け帰国したフロイトは、30歳で独自の精神分析理論を提唱する。「ナルシシズム」「同胞葛藤」「死の欲動」などの概念で知られるフロイトの学説はかくして生まれた。
 
しかし、フロイトの理論は当時のウィーンの学会ではあまり受け入れられなかった。フロイトは活躍の場を英米に置き、支持を集めていった。その後、ナチスが政権を握ると、ユダヤ人であった彼はイギリスに亡命する。1939年9月23日、亡命先のロンドンで末期がんのため息を引き取った。ナチスのポーランド侵攻により第二次世界大戦がはじまった直後の事だった。

ジークムント・フロイトの精神分析理論

ジークムント・フロイトはパリ留学中のシャルコーの影響から独自の理論を編み出した。シャルコーは患者を眠らせる催眠療法を主としていたが、フロイトはこの限界に思い至り、患者との対話により心の葛藤を語ってもらう「自由連想法」による精神分析療法を考案した。

フロイトは精神治療の経験を積む中で、ヒステリーをはじめ全ての神経症の原因は無意識における性の欲動にあるとする「性欲理論」、を提唱し、夢判断による無意識の顕在化を主張した。

フロイトの精神分析理論は形を変えつつ、現代の精神医療の基礎となっている。また、ジャック・ラカンやジャック・デリダらフランス現代思想の哲学者・精神科医にも影響を与えた。なお、Amazon Kindleストアでは現在、フロイトの著作のうち光文社古典新訳文庫に収録されている『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』『幻想の未来/文化への不満』『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』が割引価格で提供されている。気になった方はこの機会にチャレンジしてみてはいかがだろうか。