パルミラ遺跡が先ほど、武装組織「イスラム国」(IS)の制圧下に置かれた。英国BBCやアルジャジーラなど複数の海外メディアが伝えた。
武装組織「イスラム国」は今月13日にパルミラへの進攻を開始し、シリアのアサド政権軍と交戦を行っていた。「イスラム国」は20日までにパルミラ北部地域の征圧を進め、シリア・アサド政権軍は撤退。シリアにおける活動家や監視グループの発表によれば、先ほど同遺跡のほぼ全区域の征圧が終了したとのこと。
「イスラム国」はこれまでも偶像崇拝禁止を口実に、イラクにある古代アッシリアやパルティアなど多くの古代遺跡を破壊してきた。「イスラム国」は重機やハンマーなどを用い、遺跡を物理的に破壊することで知られている。今回のパルミラ侵攻により、またも貴重な文化遺産が破壊を免れないと危惧されている。
パルミラ遺跡とは?
パルミラはシリア中央部にある古代遺跡。1980年、ユネスコの世界遺産に指定された。パルミラは紀元前より交通の要衝として栄え、フェニキアなどの地中海沿岸都市とダマスクスなどの内陸部の交易ネットワークを結んできた。古代ローマ帝国の時代にはシルクロードの一部として栄え、隣接するパルティアやローマの文化を受容した。
パルミラは1世紀以降、ローマの属州となり、交易の中継地や軍事拠点として栄えた。現在も列柱や劇場などローマ風の都市遺跡が残り、往時の繁栄をしのばせてくれる。人類の貴重な文化遺産が蛮行の手にかからないことを願うばかりだ。
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