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今日5月4日はピアノの発明者であるバルトロメオ・クリストフォリの誕生日だ。

これを記念して、Googleのロゴも一日限定でピアノが音を鳴らす仕組みを解説するアニメーションに変更されている。これを見るとピアノの中でハンマーが弦を鳴らす様子がよく分かる。また横のレバーで音量を調節することもできる。p(ピアノ)からf(フォルテ)にスライドさせると、音量とともにバロック風の演奏者が首を振る動きも激しくなって面白い。

このロゴ変更は歴史的な出来事や偉人の誕生日などのアニバーサリーをお祝いするGoogleのお遊び企画「Doodle」(ドゥードゥル)によるもの。流れている曲はクリストフォリのものではなく、有名なヨハン・ゼバスティアン・バッハによる「主よ、人の望みの喜びよ」だ。



バルトロメオ・クリストフォリとは?

クリストフォリは1655年5月4日、学芸で有名なイタリアのパドヴァで生まれた。楽器製作のプロとして頭角を現し、33歳の時にメディチ家の当主であったフェルディナンド・デ・メディチによってスカウトされた。

芸術を愛する君主だったフェルディナンドは、クリストフォリの他にもヘンデルやスカルラッティら多くの音楽家を招き入れた。そんな中でクリストフォリは、17・18世紀転換期と前後して、現在のピアノの原型となる楽器を発明する。

その後、クリストフォリはフェルディナンドの死後もメディチ家に仕え続けたが、メディチ家は次第に勢力を失っていく。クリストフォリは自身の発明した楽器を売りに出さざるを得ないこともあったという。

一方、彼の発明したピアノはドイツやオーストリアの音楽家たちに注目され、時代は古典派音楽のトレンドへと移行してゆく。そんなクリストフォリは、まさにイタリア・バロック音楽の黄昏を体現する音楽家であったと言えるだろう。
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クリストフォリのピアノの特徴

クリストフォリが生まれた当時、ピアノに似た鍵盤楽器はすでに存在した。チェンバロとクラヴィコードだ。クリストフォリ自身、もともとはチェンバロ職人としてキャリアをスタートした。

彼の功績は、指のタッチを使って音の強弱をつけるのが、それまでの鍵盤楽器に比べて簡単にした点にある。クリストフォリの発明したピアノの正式名称は「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」(Gravicembalo col piano e forte)。イタリア語ができなくても「ピアノ」(弱い)と「フォルテ」(強い)は音楽の授業でおなじみだろう。「強弱のつけられるチェンバロ」という意味である。

そんなクリストフォリによるピアノの音色を実際に聴いてみたいと思った読者も多いだろう。現在、彼の発明したピアノは世界に3台のみ残っている。そのうち一台を所有する米国メトロポリタン美術館がYoutubeに演奏動画をアップロードしている。曲はクリストフォリ自身の作曲した「ソナタ ニ短調」だ。



いかがだっただろうか。現在のピアノに比べると音色はチェンバロに近いものの、音の響きがチェンバロとは明らかに異なっている。なお、その後ショパンなどロマン派の音楽家が活躍した19世紀になると新しくモダンピアノが発明され、現在のピアノの原型となった。

この動画の他にも、Amazonなどで検索するとクリストフォリによるピアノ曲が収録されたCDをいくつか見つけることができる。興味を持った方は調べてみてはいかがだろうか。



photo: wikipedia.org