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今日のGoogleロゴは何やら怪しげなアニメーションに変更されている。

内部を歯車で満たされた潜水艦、操縦する3人の怪しい男…一体何を表しているのだろうか? そう思って水面部分をよく見てみると、何だか見覚えのある動物の影が…。長い首に大きな胴体、そう、スコットランドにあるネス湖で発見された英国を、いや世界を代表する未確認生命体「ネッシー」だ。
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上の有名な白黒写真を見たことがないという人はおそらくいないだろう。小学生が読むような図鑑やミステリー本には必ずと言ってよいほど掲載されており、テレビのミステリー番組でもたびたび登場する写真だ。

この写真は今日からちょうど81年前である1934年4月21日、英国の大手タブロイド紙「デイリー・メール」(Daily Mail)に掲載されて話題を呼んだものだ。今日のGoogleロゴはこの出来事にちなんだもの。記念日をお祝いするお遊び企画である「Doodle」(ドゥードゥル)によるものだ。

超有名写真「外科医の写真」の真実
この写真を撮影したのはロンドンの医師であるロバート・ケネス・ウィルソンという人物。友人とともにバードウォッチングのためネス湖へ出かけたところ、偶然にも湖面に浮かぶ怪物を激写!…という設定で全世界に公開された。

しかしながら、現在では周知の事実となっている通りこれはインチキで、実際にはオモチャの潜水艦に長さ30センチほどの怪獣の首の模型を付けてそれっぽく撮影した捏造写真だ。撮影者はウィルソンの友人であり、ネタに信憑性を持たせるため社会的地位の高いウィルソンに偽証を依頼したという。何とも手の込んだイタズラである。さすがはイギリス人だ。

現在の我々からすると写真のサイズ感がおかしいことは明らかだが、それはCGやコラ画像を見慣れたインターネット世代だからこそ。当時この写真は大きな反響を呼び、長くネッシーの実在を証明する代表的写真として扱われてきた。

結局、イタズラの関係者の親戚であるクリスチャン・スパーリングさんが亡くなる間際に真相を告白。時は1993年、写真が撮影されておよそ60年後のことだった。スパーリングさんによると、当初はエイプリルフールのドッキリのつもりだったが、騒ぎが大きくなって言うに言えなくなったという。何ともよくある話だ。

しかしながら、以上の事実をもってネッシーは実在しなかったと結論付けるのはまだ早い。何しろ、今回はたった一つの証拠が否定されたにすぎず、ネッシーの目撃事例は他にも数多く存在するからである。もしかしたら次にネッシーが現れるのは、あなたの住む町の水辺かもしれない……



photo: Wikimedia Commons