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誰にだって思い出したくない過去はあるだろう。

「ミシュランマン」といえばフランスのタイヤメーカー「ミシュラン」の公式マスコットで、同社の発行するグルメ本『ミシュランガイド』の表紙を飾るなど、世界中で愛されているキャラクターだ。1894年、リヨンで行われた博覧会にて積み上げられたタイヤを見たミシュラン兄弟の弟のエドゥアールが「腕をつけたら人間になるじゃないか」と兄のアンドレに言ったのがきっかけで誕生したのだという。

ちなみにミシュランマンの体が白いのは、当時のタイヤは高級品であり、白い紙に巻いて売られるのが一般的だったからである。

しかしながら、そんなミシュランマンにも知られたくない過去があった。デビュー当時の彼は現在の可愛らしい姿とは似ても似つかぬ形をしていたのだ。まずは以下の画像をご覧いただきたい。
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・・・キミ、誰?

何を隠そう、この中央でグラスを掲げている怪しい男こそがミシュランマンのデビュー時の姿である。不気味な表情に毒々しい色遣いとなかなかグロテスクだ。

イラストの上下にはラテン語とフランス語で何やら文字が書かれている。意味は「ヌンク・エスト・ビベンドゥム、その心は『乾杯』。ミシュランタイヤは障害物を飲み干す」。ここに書かれている通り、「ヌンク・エスト・ビベンドゥム」(nunc est bibendum)とは、ラテン語で「乾杯」という意味。強い酒も難なく飲み干す男の姿で、障害物をパンクすることなく乗り越えるミシュランタイヤの長所をアピールしているというわけだ。ちなみにミシュランマンの左右でしぼんでいる化け物のようなものはパンクしてしまった他社のタイヤ。うーん、グロテスク…

せっかくなので、ミシュランマン(正式名称は「ビバンダム」)の昔の姿をもっと見てみよう。
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…いかがだっただろうか。記事冒頭に掲載した現在のミシュランマンの姿と比べてみればその差は一目瞭然である。ミシュランマンの「黒歴史」はフランス人の美的センスの知られざる一面を私たちに教えてくれる…のかもしれない。