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フランスで14日、「シャルリー・エブド」の最新号が発行された。

「シャルリー・エブド」最新号は「生存者号」と題し、偶然被害を免れたLuz氏が表紙を担当した。ムハンマドと思しきアラブ系の男性が「Je suis Charlie」(私はシャルリー)と書かれたプラカードを持ち、目に涙を浮かべるイラストだ。「全て赦された」という文字が大きく掲げられている。イラストを担当したLuz氏によれば、始めにアラブ人男性の絵を描いたところ、その人物が泣いている姿が思い浮かび、涙を付け足したとのこと。Luz氏自身もイラストを描きながら涙を流したという。

「生存者号」は8日朝、フランス全土のキオスク、売店で発売された。売店は注目の最新号を求める人であふれ、300万部が刷られた生存者号は発売直後に売り切れとなった。Twitterには夜明け前から列をなす人の写真がアップロードされている。


売店によっては一人一部までに制限する店もあったが、やはり手に入れることができなかった人は多いようだ。インターネット上ではすでに「生存者号」が高額で取引され始めている。
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なお、日本の一部メディアでは表紙イラストの「全て赦された」(Tout est pardonné)を「何を描いても許される」と解釈し、「ムハンマドの風刺も「表現の自由」の枠内との見解を訴えた」とする報道もあったが、正確ではない。英紙『ガーディアン』ではアラブ系の女性コラムニストZineb El Rhazoui氏が「全て赦された」とは「起こってしまったことを水に流すべきだ」という意味であり、「殺された人たちも、今日テロリストとコーヒーでも飲みながらなぜあんなことをしたのか一緒に話し合う機会があればよかったのに」とコメントしている。

現在、事件の評価を巡って新たな対立が生まれようとしている。多くの仲間を失ったことを誰よりも悲しんでいるはずのLuz氏による「全て赦された」というメッセージを、私たちは重く受け止めるべきだろう。

photo: europe1