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12月19日、理化学研究所はSTAP細胞の存在を証明できないまま、検証実験の終了を宣言しました。

同日、小保方晴子研究員は退職届を提出。理研はこれを受理し、21日付で小保方研究員の退職が決定しました。

26日、理研は記者会見を開き、STAP細胞の万能性について「すべてES細胞の混入に由来する、あるいはそれで説明できることが科学的な証拠で明らかになった。STAP論文は、ほほすべて否定されたと考えて良い」とのコメントを発表しました。

現在、一部のマスコミでは「STAP細胞があったか否か」が問題とされています。「ただ実験に失敗しただけなのに、小保方さんを辞めさせるのはかわいそう」という声も耳にします。

ですが、小保方研究員の問題点はSTAP細胞の有無とは別の点にあります。以下では一部のメディアによって誤解されているSTAP細胞事件の論点について解説したいと思います。


「STAP細胞はあります」?

2014年4月、小保方研究員は記者会見の場で、涙ながらにそう述べました。このフレーズは大きな反響を呼び、今年最も流行した言葉の一つとなりました。

記者会見の映像を見た多くの人は、小保方研究員に真摯な心を感じ、これによりSTAP細胞の存在を確かめる実験を行うチャンスが小保方研究員に与えられることになりました。

ですが、今回の事件の真の問題点は「STAP細胞が本当にあったかどうか」ではなく、もっと別の所にあります。それは小保方研究員の博士論文で行われたタブー行為「剽窃」です。


研究者が絶対に犯してはならないタブー=「剽窃」とは?

「剽窃」と書いて「ひょうせつ」と読みます。または「盗用」ということもあります。他人のアイデアを無断で使用することで、要するに「パクり」です。
(※小保方研究員の行為を指して「コピペ」と言われることもありますが、今回の記事ではより実態に即した言葉である「パクり」を使いたいと思います。) 

小保方研究員が2010年、早稲田大学大学院に提出した博士論文は、文章のほとんどが別の論文無断でパクった、つまり「剽窃(盗用)」したものです。普通、別の論文を引用する際は無断で行ってはならず、「○○さんの××という論文の何ページから引用した」という風に論文中に明記する必要があります。そうしないと他人の成果がまるで自分の成果であるかのように見えてしまうからです。これは立派な不正行為です。

剽窃(盗用)は研究者の間ではタブーとされます。剽窃がバレた研究者は信用を失い、その後学問の世界で生きていくことはできません。学生がテストやレポートで剽窃を行った場合ですら単位取り消し、場合によっては留年になることもあります。

ところが今回の事件では、「STAP細胞はあります」 という発言が多くのマスコミに取り上げられた結果、本当に重要な論点である「剽窃」の問題が霞んでしまいました。たとえSTAP細胞が実在したとしても、剽窃そのものは許されるべき行為ではありません。

今回の事件は、理研の優秀な研究者だった笹井芳樹さんの尊い命を奪いました。さらに、長年わが国を支えてきた科学技術に対する世界からの信頼も失われました。今後は誤った情報に惑わされることなく、賢い判断をしていく必要があるでしょう。