建築や歴史に造詣の深い方なら「クロード=ニコラ・ルドゥー」の名前を聞いたことがあるだろう。18世紀フランスで活躍した建築家であり、「ショーの理想都市(アルケスナン王立製塩所)」、「ブザンソンの劇場」などの作品を残した。

しかしながら、その後長く忘れ去られ、再評価が行われたのは20世紀半ばだった。エミール・カウフマンによる研究がルドゥー再評価の嚆矢となり、現在では磯崎新が高く評価し、「つくばセンタービル」の柱にルドゥーからの引用を行うなど、建築界では一定の地位を得ていると言ってよい。



そんなルドゥーが長く正当に評価されてこなかった原因の一つに、彼の王権とのつながりがある。ブルボン王朝のために作品をつくったことで、フランス革命後、旧体制の象徴として低く評価されてきたのである。

ルドゥーと王権のつながりを如実に示す作品に「パリの市門」がある。パリを取り囲む「徴税請負人の壁(フェルミエ・ジェネローの壁)」 に設けられた門で、入市税・通行税を徴収する関所の機能を果たした。そのため民衆から忌み嫌われ、革命後に破壊の憂き目にあう。多いときは40箇所を超えた市門も、現在では4つしか残っていない。

本エントリでは現存するルドゥーによるパリの市門のアクセス方法をまとめた。ルドゥーに興味がある読者の観光のサポートになれば幸いである。 

1. ラ・ヴィレットの市門(Barrière de la Villette)
所在地:6-8 Place de la Bataille de Stalingrad, 75019 Paris
最寄り駅:スターリングラード(メトロ2・5・7号線)、ジョレス(メトロ2・5・7号線)
近くのスポット:北駅、東駅、ビュット・ショーモン公園、サン=マルタン運河
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2. シャルトルの市門(Barrière de Chartres)
所在地:4 Place de la République Dominicaine, 75017 Paris
最寄り駅:モンソー(メトロ2号線)
近くのスポット:モンソー公園、日本大使館、サル・プレイエル
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3. トローヌの市門(Barrière du Trône)
所在地:9 Avenue du Trône, 75011 Paris
最寄り駅:ナシオン(メトロ1・2・9号線、RER-A線)
近くのスポット:ナシオン広場、ペール・ラシェーズ墓地、エスパス・ハットリ
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4.  アンフェールの市門(Barrière d'Enfer)
所在地:Place Denfert-Rochereau 75014 Paris
最寄り駅:ダンフェール・ロシュロー(メトロ4・6号線、RER-B線) 
近くのスポット:モンパルナス墓地、カルティエ財団、モンスリ公園
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