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混迷を極めるフランス大統領選挙にまたも新局面到来だ。

今回、マニュエル・ヴァルス元首相(社会党)はフランスのテレビ局BFMTVにおいて、社会党のブノワ・アモン候補ではなく中道政党「前進!」所属のエマニュエル・マクロン候補の支持を表明した。ヴァルスは1月の予備選挙において僅差で破れ、アモンが左派の公認候補として大統領選挙に出馬することが決定していた。

ところが、ブノワ・アモン候補はベーシックインカム導入や大麻合法化などといった過激な主張で知られており、本選を勝ち抜くことは不可能と見られている。これに伴い、ヴァルスは社会党を捨てて最有力候補の一人であるマクロンに鞍替え、もうひとりの有力候補であるマリーヌ・ルペン(国民戦線・極右)の台頭に対して「共和国を危険に晒す訳にはいかない」として、ルペンの当選を阻止する構えに出た。

「裏切り」が意味するもの:フランス政界の今後とは

マニュエル・ヴァルスの「裏切り」に対しては賛否両論があるものの、いずれにせよ、これで政界における社会党の立場はますます縮小することが予想される。右派である共和党のフランソワ・フィヨンはすでに家族への不正給与疑惑で当選は絶望視されており、決選投票ではマクロン(中道政党「前進!」)とルペン(極右政党「国民戦線」)の一騎打ちとなることが予想される。
(そういえば言及を忘れていたが、極左の一匹狼メランションもいる)

フランス第五共和政は伝統的に、ド・ゴール主義の流れをくむ右派と社会主義に親和的な左派が二大政党を構成しており、その間隙を縫って中道・極右・極左が独自の存在感を示すという構造をなしていた。ところが今回の大統領選では右派・左派ともに振るわず、相次ぐテロ事件と相まって存在感を強めた極右や、フランス的アイデンティティをほどよく体現する存在としての中道が躍進する結果となっている。グローバル化の中、ド・ゴール以来の政界再編は成るのだろうか。そしてフランス的アイデンティティは今後どこに向かうのか。一ヶ月後に控えた大統領選から目が離せない。

photo: express.fr