Léa_Seydoux_2014_Berlinale
レア・セドゥは今最も注目されているフランスの女優の一人と言っても過言ではない。

2008年に『美しいひと』で第34回セザール賞の有望新人女優賞にノミネートされてから、翌年にはクエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』でハリウッドに進出、『美しき棘』(2010年)、『マリー・アントワネットに別れをつげて』で(2012年)で再びセザール賞の有望新人女優賞にノミネートされ、『アデル、ブルーは熱い色』に主演して第19回リュミエール賞の最優秀女優賞を受賞するなど、破竹の勢いでキャリアを積み上げていった。最近は『ミッドナイト・イン・パリ』や『グランド・ブダペスト・ホテル』、『007 スペクター』などハリウッドの人気作への出演で世界的に注目を集めている。

そんなレア・セドゥ、実は生まれた家柄も超名門だ。レア・セドゥは1985年7月1日、パリで最も裕福な地区の一つとして知られる16区で生まれた。今回はそんな彼女の知られざる家系について紹介しよう。

父親:アンリ・セドゥ~パロット社の共同創設者

レア・セドゥの父親アンリ・セドゥは1960年パリ生まれの実業家。ベンチャー企業「パロット(Parrot)」社の共同創設者にして現CEOとして知られる人物だ。1994年にアンリ・セドゥとクリスティーヌ・ド・トゥルヴェル、ジャン=ピエール・タルヴァールの3名によって設立されたパロット社は近年ドローンの開発などに力を入れており、フランスの有力なテック系企業として世界的に注目されている。

祖父:ジェローム・セドゥ~メディア王、パテ社の経営者

そんな実業家アンリ・セドゥの父親、レア・セドゥから見ると祖父にあたるジェローム・セドゥは1934年パリ生まれの実業家。ジャーナリズム業界で成功を収めた後、1990年に映画会社の「パテ(Pathé)」を買収。現在は資産総額12億ユーロと見積もられているフランス有数の資産家である。

なお、ジェローム・セドゥの兄弟には大手映画会社「ゴーモン(Gaumont)」CEOのニコラ・セドゥ、サッカーチーム「LOSCリール・メトロポール」のオーナーであるミシェル・セドゥがおり、3人あわせて「セドゥ3兄弟」などと呼ばれている。

曽祖父:ルネ・セドゥ~高名な地球物理学者

ジェローム、ニコラ、ミシェルの「セドゥ3兄弟」の父親、レア・セドゥの曽祖父であるルネ・セドゥは地球物理学者。ルネの妻であり「3兄弟」の母親のジュヌヴィエーヴは、世界最大の油田開発企業「シュルンベルジェ」社を1926年に創設したマルセル・シュルンベルジェの娘。マルセル・シュルンベルジェは理系エリート校である「エコール・サントラル(中央工学校)」を卒業し、地球物理学の知識を活かして油田開発事業に乗り出した。まさに理系エリートの一族と言えるだろう。

セドゥ一族の祖:シャルル・セドゥ~19世紀の国会議員

さて、そろそろセドゥ家の繁栄ぶりを十分紹介してきたが、そんなセドゥ一族勃興のきっかけを築いたのがシャルル・セドゥである。シャルル・セドゥは1796年スイス生まれ。ナポレオンの大陸軍に従軍し、1814年にフランス国籍を取得した。1823年に軍隊を退役し、フランス北部のノール県で羊毛業を興し、財を成した。

ナポレオン3世の第二帝政期、シャルル・セドゥは立法院の代議士として政界に進出。レジオン・ドヌール勲章を受章するなどの栄誉を残し、1875年に亡くなった。

さて、いかがだっただろうか。レア・セドゥは美しい女優であるだけでなくフランスの超名門一族に生まれた人物でもあったのだ。なお、今回の記事で紹介したのはレア・セドゥの直系の先祖だけであり、セドゥ=シュルンベルジェ一門には他にもフランス史に名を残す人物が数多く存在する。現在、フランスにはセドゥ家のプレステージを守り一族の親睦を深めるための「セドゥ家協会」という組織がある。協会の公式webサイトにはセドゥ家の詳細な家系図が掲載されているので、興味のある方は調べてみると面白いかもしれない。

また、フランスのエリート家系については社会学者のモニク・パンソン=シャルロとミシェル・パンソンの夫婦(パンソン夫妻)が『名士のゲットー』という著作で分析を行っている。フランス語の読める方はこちらも参照すると面白いだろう。

photo: wikimedia.org